【ADHD】「不注意」からくる困りごとは4つある
「不注意」による行動として、カレー沢さんの「なおまし」マンガには4つの困りごとが描かれています。
1.つい「よそ見をしてしまう」
2.片付けられない
3.気がそれる
4.スケジュール管理ができない
ここでは、これらの困りごとについて1つずつ、カレー沢さんにお尋ねしました。
「不注意」からくる困りごと
(1)つい「よそ見をしてしまう」
Dr.五十嵐 マンガ「なおまし」の中では「よそ見をしてしまう」の具体例として
•集中力がなく、仕事中に関係のないネットサーフィンなどに脱線することが多い
•会社で、よそ見ばかりして全然仕事ができず嫌われていた
•子供の頃から、すぐに独自の世界に入り込み他人の話を聞いていなかった
といった場面が取り上げられています。これらは「集中力がないから」だと考えられますか?
カレー沢さん そうですね、それもありますが「興味の差」もあります。
会社勤めをしながらマンガを描いていた頃、会社での仕事は私にとって、それほど楽しいことではなかったので、勤務中であっても、ほかに興味が向くものがあると、例えば近くにスマホがあったら、すぐにスマホを手に取ってしまっていました。
勤務中ですから、普通は我慢するものかもしれませんが、私は仕事よりも自分の「興味があるもの、やりたいこと」を優先してしまいます。
Dr.五十嵐 ということは、興味のないことは余計に注意が他のことに移りやすい、あるいはソレやすいということでしょう。
©カレー沢薫/小学館
会社勤務中も、よそ見してしまうことが多かった
「不注意」からくる困りごと
(2)片付けられない
Dr.五十嵐 では、「片付けられない」のは、どういうように起こるのでしょうか?
カレー沢さん 片付けること、整理整頓すること自体に関心がないのかなと思います。「片付けが苦手」ということもありますが、そもそも「片付けようと思っていない」という感覚もあると自分の行動から思います。
Dr.五十嵐 そもそも関心がないと?
カレー沢さん そうですね、きちんと片付いていなくても、それほど気にならず、それよりも「片付ける」という行動に時間を取られるのが「もったいない」と感じ、片付けが必要なものはとりあえず、その場に放置して別のやりたいことをやります。でも、それが積み重なって、気づいたら部屋がすごく汚くなって、必要なものが見つからないということもあり、部屋が汚くてもいいわけではないとは思っています。
Dr.五十嵐 片付けること自体に興味がないということですね。それに加えて興味のあることをやってしまうので、ますます片付かないということなのでしょうね。
©カレー沢薫/小学館
とりあえず放置して、自分がやりたいことを優先する
「不注意」からくる困りごと
(3)気がそれる
Dr.五十嵐 次は「気がそれる」について。これは、「仕事中であっても気になることがあると、そちらに注意がいってしまう。皆で一つのことをやることができず、別のことをやったり、独りで進めたりする」ということですが、どうしてこうなると思われますか。
カレー沢さん そうですね、これも、自分の興味のままに衝動的に動いてしまう、どうしても自分の関心のあるものを優先してしまうからです。それは、協調性には全然つながらない行為なので、会社勤めしていた時は他の人ともうまくいかず、仕事も滞りました。
©カレー沢薫/小学館
自分の興味のままに動いている
Dr.五十嵐 自分の中にハッキリした優先順位があるようですね。
カレー沢さん はい。例えば、締め切りがある仕事の場合、普通は締め切り日が近いものからやると思うのですが、私は自分の中で「これをやる」と決めてしまうと、締め切り日にかかわらず、選んだものから先にやります。そして、自分の中で、いったんそう決めてしまうと、なかなかそれを変えられません。
Dr.五十嵐 なるほど。誰にでもそういうところはあるかもしれませんが、興味によって衝動性が高まり、不注意がより強調されるのかもしれません。また、一度決めた優先順位は変えられないというところは「こだわり」(ASDの特徴)のように思えます。
「不注意」からくる困りごと
(4)スケジュール管理ができない
Dr.五十嵐 今度は「スケジュール管理ができない」という内容についてお尋ねします。これは、注意がそれた結果、スケジュール管理ができないということでしょうか?
カレー沢さん これも、さきほどと同じで、今日はコレをやる、と決めたとしても、自分の興味の向くものを優先してやってしまうため、それがどんどん後ろ倒しになっていってしまうことが多いです。
時間が十分になくても、興味の向くことばかり、つまりいらないことや、別のことをしている時間ばかりが長くなり、ほかに、やらなくてはいけないことがあったと、後から気づくというような具合で、計画通りには進みません。
Dr.五十嵐 それも興味の対象と衝動性に加え「こだわり」の結果ですね。
©カレー沢薫/小学館
クリニックで一日の過ごし方を尋ねられ、仕事中も頻繁に別のことをしていると明かす