大人の発達障害、会社に理解と配慮をしてもらうには

うつ症状で休職、本当の原因は発達障害

 今回の患者さんは、入社後に苦手な仕事を行わなければならない場面に遭遇し、うつの症状があらわれて休職に至りましたが、その「本当の原因は発達障害であった」というケースです。

 「発達障害とは、どういうものか」については、以下の通りです。この連載の以前の記事でも取り上げています。

(1)発達障害は病気ではありません。生まれつきの「脳の機能障害」であり、両親から受け継いでいるものです。

 本人が幼少の頃に、言語や知的能力などに年齢相応の発達が見られない場合、それに周囲の大人たちが気づいて「発達障害」が発覚するケースがあります。

 また一方で、障害の程度がごく軽いために、障害由来の苦手なことがあっても、自分で対応する方法を見つけて、周囲の大人たちに「発達障害である」とは気づかれずに成長する場合もあります。

 しかし、この場合、成人して社会に出て働くようになると、苦手なことにも仕事として取り組まなければならず、ストレスを感じて「うつ」の症状が現れることも多く、病院を受診して初めて、発達障害であると分かる事例が増えています。

 このように、大人になってから発覚する発達障害は「大人の発達障害」と呼ばれています。その障害の特性や程度は人によって異なり、自分の障害の特性を知ることで、苦手なことへの対策を身に付けることが必要です。

(2)大人の発達障害では「ASD(自閉症スペクトラム障害)」と、「ADHD(注意欠如・多動性障害)」の主にこの2つがあります。

 障害によって、それぞれに「その障害由来の困りごと=特性」があり、得意なことと不得意なことが、はっきり分かれるのが特徴です。そして、その特性の表れ方は一人ひとり違います。ASDとADHDの両方に当てはまり、2つが併存している人も多いのです。

 それぞれの障害の特徴は以下の通りです。

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