2021/5/11 五十嵐良雄=精神科医・東京リワーク研究所所長
マンガ家でコラムニストでもあるカレー沢薫さんは、以前から「集中力がない」「電話で人と話すことが苦手」といった困りごとに悩んでいました。その当時は、会社勤めをしながらマンガを描いていましたが、「会社を辞めたら楽になるのでは」と考えて勤務先を退職したそうです。
しかし実際には、自分の苦手なこととばかり向き合う毎日になり、以前よりもつらくなってしまったと言います。
診断を受け、リハビリプログラムに通って良かった
そこで、当クリニックを受診し、いくつかの検査やテスト、面談を経て「大人の発達障害である」という診断を受けました。そして、その一連のことをマンガに描き、障害のことを読者にわかりやすくマンガで伝えようとすることで、自分でも多くの発見があり理解が進んで整理がついていきます。
さらにクリニックのリハビリテーションプログラムに参加し、同じ発達障害の人たちと共に、自分の特徴や特性について学び、生活上の工夫や、日常の困り事について互いに話し合える機会を得て、やがて自己肯定感が出てきたて、変わることができたと話します。
<この記事に掲載されている主な内容>
・マンガにすることで自分でも整理できて発見が多かった
・病院に行ったら「違う人間になれるのでは」という期待があったが…
・自分の障害について話せる場があることに意味がある
・発達障害も「悪くもなかったんじゃないか」と、思えるようになった
うつによる休職を繰り返している人の中には、うつの症状が現れるものの、実はうつ病とは別の原因があるケースが増えています。その一つが「大人の発達障害」です。そこで、前回は「大人の発達障害」がどういうものか、その症状などをお伝えしました。
今回はマンガ家でコラムニストでもあるカレー沢薫さんとのインタビュー対談の模様をお伝えします。
ここでは当クリニックの五十嵐良雄医師が、日経BPのWebサイト「日経グッデイ」で連載していた記事を日経BPの許可を得て掲載しています。
カレー沢さんは、マンガ家やコラムニストの仕事をしながらも「集中力がなく、自分の世界に入りやすい」「集団行動が不得意」「電話で人と話すことが苦手」といった発達障害の困りごとに長年、悩んでこられ、私のクリニックを受診されました。
そして定期的に通院した時の様子や日々の生活の中のエピソードをマンガ『なおりはしないが、ましになる』に描いています。そこで、カレー沢さんご本人にお話を伺いました。
©カレー沢薫/小学館