コロナ禍でも「うつ休職」からの復職判定に役立ったリワークプログラム

在宅勤務推奨でも復職可能かを見極められる

 具体的には、週5日、朝から当クリニックの分院の「メディカルケア虎ノ門」まで通い、通院訓練を行う。オフィスワーク(自主課題)やコミュニケーションについての正しい知識を学ぶなどして時間を過ごし、「主治医が考える復職可能レベル」から、さらに高い「職場の求める回復レベル」までもっていく。

 2011年までのリワークプログラムを利用した人の復職達成率は、全体で76.6%、プログラムを終了して勤務先企業の復職判定に進んだ人においては98%。復職後の就労状況は、再休職することなく就労を継続している人は1年後では81.5%、2年後では70.1%だった。

 このリワークプログラムがコロナ禍で改めて注目を集めているのは、在宅勤務が推奨される状況においても、本当に復職可能かどうかを見極めることができるからだ。

 「リワークプログラムでは、コロナ感染拡大防止を十分に考慮しながらも、患者さんにはメディカルケア虎ノ門まで来てもらい、プログラムをこなしてもらっています。朝から電車に乗って移動し、リワークプログラムに参加する多くの人と接し、一日の感情の波を一律に保って過ごせるようになることが、再休職防止のために不可欠です」

うつを悪化させずに、その人の注意事項を見出す

 その過程で、うつ病を悪化させずに在宅勤務を行える、その人にとっての注意事項を見い出し、さらに詳細に指導。同時に出社しての勤務が可能かも探っていく。

 たとえば、「子供が小さく、仕事部屋を確保できず、一日中家族と顔を突き合わせる在宅勤務はストレスがたまる」という人であれば、「仕事は喫茶店で」「朝昼夜とタイムスケジュールを決めて休憩時間もきっちり取る」など細かく伝える。これによって、在宅勤務であろうと、出社スタイルであろうと、うつ病を再発して休職とならない体制を整えていく。

 今後さらにリワークプログラムはコロナ以降の働き方に合わせてブラッシュアップしていく予定とのこと。「うつ病で休職し在宅勤務で復職したがうまくいかなかった」と思う人は、リワークプログラムを検討するのも手だ。

(まとめ:福井弘枝=編集・ライター)

出典:「日刊ゲンダイ ヘルスケアプラス」2020年12月29日掲載
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/275764
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