何がレジリエンス増強につながるのか
渡邊 はい。ひと口にレジリエンス(回復力)といっても、実は、これを生み出す要素は複数あることがわかっています。今回は「私たちの、どういう行動や、ものの考え方がレジリエンスの増強につながるのか」、また「私たちがレジリエンスを身に付けるにはどうしたらよいか」という内容をお伝えしていきます。
まず初めに、ここに2015年のカナダの研究事例があります。402例のストレスを受けた思春期の若者のうち、「健康でいられた若者たちには、ストレスに対して何が働いたのか」という内容を取り上げています。
この研究でストレス対策として挙がったのが「レジリエンス」を生み出す元となる「ストレス防御因子」です。
渡邊 その防御因子を表わしたのが上の図のピンク色の内容です。ここではこのうち主な5つを紹介します。ストレスを防御する因子は、
1:将来への楽観:将来を楽観的にとらえられる力
2:ポジティブな対処行動:例えばストレスを受けたら、何かしらの方法で発散する、人に話すといった「自分を傷つけないようなポジティブな行動を行うこと」
3:多様なリラクゼーション法:自分がリラックスできる方法を多く持っていること
4:自己受容=どういう自分であっても、自分を受け入れられること
5:家族同盟=家族との間に信頼関係があって相談しやすいこと
これらの5つがストレスを防御して自分を守る因子とされ、仮にストレスを受けても、そのあと、うつにならなかったという研究結果から、レジリエンスを刺激するのはこういう要素であると示しています。
また、この5つとも重なりますが、「レジリエンス(回復力)」を発揮するためには、どういう要素が必要なのか、ということも前回お伝えしました。ここでも改めてご紹介します。
<レジリエンス(回復力)を発揮するために必要な要素>
・「何とかやっていけると将来を楽観的に考えられる力」
・「冷静に物事をとらえられる力」
・「決断力」
・「視点を変えられるユーモア」
・「忍耐力」
・「思い切りの良さ」
・「情勢を見極めて先を見通す達観力」
・「粘り強さ」
・「他人を思いやる力」
・「好奇心」
・「新しいことに挑戦する力」