2020年、コロナウイルスの感染拡大によって緊急事態宣言が発せられ、多くの会社が在宅勤務を取り入れ、会社員の働き方はそれまでとは大きく変わりました。
この当時、精神科のクリニックに初診で来る患者さん達は、ほぼ全員が何らかの形で「コロナ感染拡大に伴う、在宅勤務導入などの働き方の変化」による影響を受けていました。
心身の健康を保てる人は何をしているのだろう?
働き方が突然、大きく変われば、当然ストレスに感じるでしょう。でも、その感じ方や程度は人によって違います。ある人は、さほど強いストレスには感じていないけれど、別のある人は心身に不調をきたすこともあります。
では、どう対応すれば、その影響を最小限に食い止められるのでしょう。ここでは「在宅勤務への移行など、働き方の変化が及ぼすストレス」による、こころの病を遠ざけるための対応方法をお伝えします。
<次の記事に掲載されている主な内容>
・こころの病気は「本人と、周りの環境との相互作用」に起因している
・朝は決まった時刻に起床し、日光を浴びて体内時計をリセットしよう
・在宅勤務なら働きやすい職場環境を自宅に作ろう
・対人関係が苦手な人は在宅勤務で体調が好転する
・不調が続くようなら「在宅勤務中に休職」を避けるために早期受診を
ここでは当クリニックの五十嵐良雄医師が、日経BPのWebサイト「日経グッデイ」で連載していた記事を日経BPの許可を得て掲載しています。
心も身体も健康で働き続けるために
第1回 こころの病を遠ざけるのは「体内時計の維持」
2020/12/1 五十嵐良雄=精神科医・東京リワーク研究所所長
うつ病などの気分障害の患者数は全国で100万人を超えており、ビジネスパーソンにとって大きな健康問題になっています。
東京のビジネス街で精神科クリニックを開業する五十嵐良雄さんは、うつで休職するビジネスパーソンを復職させる「リワークプログラム」を開始した医師。このプログラムを受けて復職した会社員の3年後の就労継続率は70%と非常に高い成果を上げています。
本連載では、五十嵐医師が多くの患者さんを診た経験から、ビジネスパーソンが陥りがちなメンタルの罠(わな)についてアドバイスをします。心も体も健康で働き続けるためのヒントを、ぜひこの記事でつかんでください。今回は、コロナ禍で広がっている「在宅勤務」を精神科医の立場から分析していただきました。