ストレス対策の効果を感じられない?そんな時は「コーピング」を試してみよう

「これだ!」というストレス対処方法を見つけられない場合

 自分に合うストレス対処方法は何だろう?と、いろいろ試してみたけれど、実は、それほど効果を感じられていない。

 それでも、少しはストレス解消に役立っているのかな?とは思うものの、効果をしっかり実感でき「これだ!」と思える、もっと有効な、自分に合ったストレス対処方法は、いったい、どこで、どうやって見つければいいのだろう?

 そんな風に「自分で考えるストレス対策方法」に限界を感じたら、ぜひ試してほしいのが、心理学に裏付けられた手法。それが今回ご紹介する「コーピング」です。覚えておきましょう。

「コーピング」とは、ストレスに意図的に対処する方法のこと

 アメリカの心理学者が考案したもので、1980年代から世界中に広まりました。「コーピング」とは英語の「COPE=対処する」という意味から、この名前がつき、「ストレスへの意図的な対処」を指す心理学用語です。

 では、その「心理学に裏付けられたコーピング」とは、いったいどういうものなのか。今回はコーピングの専門家である、セラピストの伊藤絵美先生にお話を伺っています。

<この記事に掲載されている主な内容>
・自分にとっての「ストレスの原因=ストレッサー」は何か
・どういう「ストレス反応」が表れるか、モニタリング(観察)する
・気楽に実践できる小さなコーピングをたくさん持つ
・時間もお金もかからないローコストコーピングをたくさん用意する
・効果があって、費用も時間もかからない万能コーピングとは?

 ここでは当クリニックの五十嵐良雄医師が、日経BPのWebサイト「日経グッデイ」で連載していた記事を日経BPの許可を得て掲載しています。

心理学に裏付けされたストレス対策の手法とは?

第11回 ストレスに意図的に対処する「コーピング」とは?
2022/4/5 五十嵐良雄=精神科医・東京リワーク研究所所長

 現代を生きる私たちにとって「ストレス対策」は、もはや自分を守るための必須テクニックと言っていいでしょう。この連載では「ストレス対策」をテーマに、この分野の専門家の方々に最新の取り組みについて尋ねています。

 今回はストレス軽減のための意図的な対処法「コーピング」というセルフケアについて、この分野の第一人者であるセラピストの伊藤絵美先生にその考え方や実践方法をお聞きしました。

 「コーピング」とはストレスに対して意図的に対処する、セルフケアの一つの方法です。セルフケアとは自分で自分をケアすることをいいます。


『コーピングのやさしい教科書』(伊藤絵美 著、金剛出版)

 今回は、この分野の第⼀⼈者である伊藤絵美先⽣が提唱されている「ストレス・コーピング」とはどういうものか。お伝えしていきます。

 「コーピング」とは「ストレスに対する意図的な対処」です。何にストレスを感じるかは人によって違い、そして、自分が感じたストレスは自分にしか気づけません。だからこそ、ストレスを感じたときに、自分自身で意図的な対処(=コーピング)をタイミングよく、こまめに行うこと(=セルフケア)で、その影響を和らげ、心身を回復させることが健康な心身の維持に有効というわけです。

 この「コーピング」の第一歩は、自分にストレスを与える原因(ストレッサー)が何であるか、また、そのストレスによって自分にどういう反応(ストレス反応)が表れるか。この2つを知ることです。

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