効果があって、費用も時間もかからない万能コーピング
ここで、皆さんにぜひ試してほしいコーピングをご紹介します。
実はコーピングの中には、誰もがすぐに実践できて、大きな効果を発揮する上に、お金や時間がかからないという、万能選手的なものがあります。
ここではそれらの中から、3つの万能選手をご紹介しましょう。
【万能コーピング:その1】
頼れる存在を「サポートネットワーク」で可視化する
つらいことや悩みを独りで抱え込んでしまう人ほど、ストレスの悪循環に陥りがちです。そこで「いざとなったら頼れる存在」を書き出して「サポートネットワーク」を作りましょう。両親や友人、尊敬する上司や先輩など、会って相談に乗ってもらうだけでなく、「いざとなったら頼れる」「元気をもらえる」ということが大切です。
そして実は、「親しい人でなければいけない」ということもありません。あまりに濃い人間関係の場合は逆に、それ自体がストレス環境になることもあります。ご近所さんや、数年に一度くらい会うような旧友など「うすいつながりの人」でもいい。
コーピングレパートリーと同じく「質より量」が有効だからです。
さらに言えば、会ったことも話したこともない有名人でもOKです。好きなタレントや俳優、歴史好きなら敬愛する戦国武将や三国志の登場人物、アニメのキャラクターや、小説の登場人物など架空の存在でもいいのです。
思い浮かべただけで気分が明るくなる、元気をもらえる。その存在が自分の助けになるなら、すべてが、あなたのサポートネットワークです。
ここで大事なのは、そうした存在を書き出して、可視化すること。自分がたくさんのサポートを持っていることを確認して、支えがあることを認識しましょう。そしてもちろん、必要なときはそこに挙げた実在する人たちに実際に相談してみましょう。
自分のサポートネットワークを可視化する
出典:書籍『セルフケアの道具箱』『コーピングのやさしい教科書』
【万能コーピング:その2】
ねぎらいの言葉を「自分に」かける
「お疲れさま」「頑張ったね」「大変だったね」「ちょっと休もう」「無理は禁物だよ」。
元気がないとき、疲れたとき、気分が落ち込んだとき、こんな言葉を声に出して、自分に言って、自分自身をねぎらってあげることも、コーピングになります。
自分以外の誰か、その人を思うと気持ちが温まるような人がいたら、その人に語りかけてもらっているというイメージを抱きながら行うのもいいでしょう。実際に、頭をなでたりしながら、やさしく穏やかなトーンで、自分に言葉をかけます。
もちろん、効果が大きいのは実際に誰かにねぎらってもらうことです。家族や親しい友人などに頼めるなら、その声を録音して繰り返し聞けるようにするのも一つの方法です。
【万能コーピング:その3】
第3者になりきる「フレンド・クエスチョン」
最後の一つは自分のストレスを「友達に相談された」と仮定して、自分が何と答えるか、考えてみるという方法です。
(1)まずは、誰か特定の人を思い浮かべてください。
自分と同じようなストレスを抱えていそうな人が良いでしょう。
(2)その人に、頭の中で自分に相談してみます。
「最近、仕事量が増えて疲れが取れないんだけど、どうしたらいいと思う?
「人間関係がつらくてね。何か、いい対処方法はないかな?」
「出かける機会が減って、気分転換ができず、ストレスがたまっているんだけど、何か良い手はない?」
などなど…。
(3)こんな相談をされたら、あなたならどういう言葉をかけるでしょうか。
「大丈夫だよ」
「頑張り過ぎているのでは?」
「その状況をよくわかっている、信頼できる目上の人に相談してみよう!」
「思い切って休みを取って、気分転換することを優先するタイミングだよ」
案外、人は自分には厳しく、他人はいたわるものです。さらに続けます。
(4)あなたの言葉に対する相手からの反応(本当は自分ですが)
「なぜ、大丈夫だなんて言えるの?」
「自分よりももっと周りの人は頑張っているんだ。休む時間なんて取れないよ!」
「信頼できる上司がいたら、こんなにつらくなっていないよ!」
「休めたら苦労しないよ!」といった言葉が返ってくるかもしれません。